パトリツィア・ホテル
いつもの打ち合わせに使う教室で、新宮くんは焼きそばパンを齧っていた。


「あの……」

「ん?」

「いや……」


新宮くんと目を合わすと、あの言葉を思い出して……私は恥ずかしくなって目を逸らした。

すると、新宮くんはクスッと笑った。


「それにしても……危なかったよなぁ」

「えっ?」

「今朝のこと。俺が割って入らなかったら、咲ちゃん、絶対に神澤さんをどついてたろ?」

「えぇっ! いや、私、どつくだなんて」

「だって、あの時。ヤンキーに絡まれてた時と同じ雰囲気が漂ってたもん」


言われて見れば、確かに……私、あのまま絡まれてたら、きっとまたキレてた。

そう思うと、また恥ずかしくなって私は下を向いた。

すると、新宮くんはにっこりと笑った。


「でも。咲ちゃんは、あの強さとランドにいた時の可愛らしさのギャップがいいんだよ」

「ギャップ……」


今朝、朱里に言われたことを思い出して……それに、新宮くんの笑顔はやっぱり素敵で爽やかで。

私の顔はまた火照り出した。


だから、照れを隠すように、私は話題を変えた。


「パン……」

「えっ?」

「お昼ご飯、焼きそばパンなんだね。お弁当作ってくれる人、いないの?」
< 52 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop