パトリツィア・ホテル
そう考えた瞬間……


「あっ……そうだ!」


私はあることを思いついて、思わず立ち上がった。


「えっ、島崎さん。どうしました?」


化学の授業をしていた教師は私の突然の振る舞いに驚いた顔をし、クラスメイト達からは怪訝な表情を向けられた。


「い、いえ、すみません……」


私は小さくなって俯き、そっと席に着いた。




放課後。


「咲ちゃん。何か、いいの思いついたって?」


いつもの、学級委員の打ち合わせで使っている教室。

新宮くんが、瞳をキラキラと輝かせて私に尋ねた。

その顔はまるで、無邪気にはしゃぐ幼い子供のようで。

私は恥ずかしくなって目を逸らした。


「思いついた……って言っても、もし、テーマパークでこんなことができたら素敵かも、ってくらいのことなんだけどね」

「うん! で、どんなこと?」


新宮くんは期待に満ちた眼差しで私を見つめた。

その無邪気な顔はとても可愛くて。

こんなにややこしいことをさせられていることも、簡単に許してしまえて。

可愛さって、罪だ……私はつくづく、そう思った。


「うん、まぁ……何というか、かなりピントのずれたようなことかも知れないけど……」

「全然! 自分ではピントがずれていると思っていても、提案してみたらすごいアトラクションの発明に繋がることもあるんだから!」


彼のポジティブな言葉に促された私は、恐る恐る化学の時間に浮かんだアイディアを口に出した。
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