パトリツィア・ホテル
「ランドに来てくれた子供達が、もし物語の主人公になることができたら……」

「物語の主人公?」


私は頷いた。


「私、五歳の時からずっと、お姫様になりたかった。でもそれは、私に限らず女の子なら誰もが少しは持っている望みだと思うの。そう、物語の中のお姫様。例えば、シンデレラみたいな……」

「咲ちゃんは昨日、なっていたよな」


新宮くんがにっこり笑うと、私の顔はまた熱くなった。


「えぇ。私、昨日はとっても嬉しくて。夢のようだった。だから。ランドに来てくれた子供達にも、そんな夢のような時間を味わって欲しいんだ。そして、その時間が終わったらそれでお終いじゃなくて……その夢の物語をプレゼントするの」

「物語をプレゼント?」


少し不思議な顔をする彼に……私は、実現可能かどうかは分からないけれど。

私が思いついたアイディアを説明した。


「子供達にとって、ランドで過ごした時間は夢のような時間なの。だから、いつまでも……そう。大人になっても、その夢を忘れないように。お姫様とか王子様になれたその時間を、その夢を……物語にしてプレゼントできるようなアトラクションがあれば素敵だなって、思ったの」


私はまだ全然形になっていなくて……抽象的にしか表現できないアイディアを彼に伝えた。
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