パトリツィア・ホテル
家に帰ってからも、私の胸の中では心臓がドックン、ドックンと高鳴っていた。


(これって……私、あの新宮くんに告白されたんだよね)


まさか、自分がクラス一の人気者の御曹司様に。

本当は、すごく嬉しかった。

すぐにでも、「こんな私でよければ……」と、イエスの返事をしたかった。

けれども……


(本当に私でいいの? それに、私……本当に彼のことが好きなのかな?)


彼に好意は抱いていた。

でもそれは、憧れのようなもので……アイドルに対するそれに似ていて。

彼の正体があのちっぽけで泣き虫のゆうちゃんだと分かっても、それはやっぱり変わらなくて。

自分で自分の気持ちが分からない……そんな状態で返事をするのは彼に対して失礼だと思ってしまったのだ。


(どうしよう……)


ベッドに仰向けになるも、抱き枕に抱きつくも、答えは出なくて……


「春の遠足が終わってから……か」


それはもう、二週間後。

それまでに気持ちを整理して、考えて……彼に自分の気持ちをしっかりと伝えられるようにしよう。

私は高鳴る胸の鼓動を抱き枕で押しつぶすようにしっかりと抱いて、ギュッと目を瞑って。

眠りの世界にいざなわれるのをひたすらに待ち続けた。
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