パトリツィア・ホテル
「私が小さい頃から何も進歩していないようにも聞こえるんだけど」

「まぁ、悪く言えばそうかもな」

「もぅ!」


頬を膨らます私に新宮くんは悪戯っぽく笑った。

彼は意識してかせずか、いつも私の緊張を解いてくれる。

そう……まるで、彼が御曹司だということを忘れさせるように。

彼と私との身分の違いなんて、微塵も感じさせないように。

そして彼も、私とそういう風に関わっている時には、一番『彼らしく』振舞っている。

そんな気がするのだ。



「ねぇ、新宮く……ゆうちゃんもさぁ」


今日は敢えて、彼を『ゆうちゃん』って言った。


「最初、見た目はとんでもなく変わってて、あの頃のゆうちゃんだなんて気付かなかったけど……あの頃と変わらないよね」


……って言っても、『あの頃』会ったのは一時間だけだったけど。

そんなことを思って、クスっと笑った。


「まぁ、本当にそうだよ。でも、俺も……周りからは、この金持ちの御曹司としての外見に合わせたキャラとして見られるじゃん。それって、結構、キツくてさ」


彼はそう言って、ペロッと舌を出した。


「やっぱり……普段のゆうちゃんって結構、背伸びしてるんだ?」


私には、彼がクラスの普段の面子と関わっている時にはやっぱり何処か、苦しげに見えてた。
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