パトリツィア・ホテル
「背伸び、か。確かにそうかも。俺も、あんま御曹司みたいなのと関わってると疲れるもんな」


新宮くんはバツが悪そうに笑って、頭を掻いた。

その様子が可笑しくて。

私はつい、吹き出してしまった。


「あー、何、笑ってんだよ?」

「ううん。何だかさ、安心して」

「安心?」


不思議そうな顔をする彼に、私はフフンと笑った。


「やっぱり、ゆうちゃんも。私と同じなんだなって思って」

「同じ?」

「そう。私も、身分違いな高校に入っちゃって。時々、ちょっと息苦しくなるからさ」

「そっか……」


新宮くんはそんな私に、にっこりと笑った。


「高校でそんな風に感じたらさ。すぐに俺のもとに来いよ。俺のもとが……咲の居場所になるのなら、俺も嬉しいからさ」


そんな彼の言葉が、私の中に響いて……

それをきっかけに、心臓がドクンドクンと暴れ出した。


(ズルいよ……そんなカッコいい顔でそんなことを言うなんて)


私の右手はただひたすらに、その音が彼に聞こえないように自分の胸をギュッと押さえていた。


「咲ちゃん? どうかした?」


私の顔を覗き込む彼に、また私の鼓動は跳ね上がった。


「う、ううん。何だか、私が天下の御曹司様にそこまで想われてるなんて、信じられなくてさ。一体、私なんかのどこがいいの?」
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