パトリツィア・ホテル
「うーん、俺は……これかな?」


赤面する私に気付いてか気付かずか、新宮くんは一番右のコースを指差した。


「人魚コース? どうして?」

「だって、見てみたいもん。人魚になった咲ちゃん」

「あー、やっらっしー! って言うか、別に、私が人魚の格好するわけじゃないでしょ」

「なーんだ、そっか」


そんな話をしながら、結局、私には決められなかったので、人魚の海コースを選ぶことになった。




ドレスアップは各々、更衣ルームで行った。


「あ、これ、綺麗……」


私はエメラルドグリーンのドレスを選んだ。

そして、使用人に扮したスタッフ達に着せてもらって、メイクもしてもらって。


「すごい……」


今日もあの日と同じ……

鏡に映る私は、まるで自分とは思えないほどに可愛らしくて。

思わず私の顔は綻んだ。




「それでは、人魚の海を楽しんできてね!」


小さくて可愛らしい妖精達に見送られて、私はそのドアをくぐった。


(ザザー、ザザー……)


そこには白い砂浜があって、本当に海が広がっているかのように寄せては返すさざ波があって。

裸足で歩く海辺は、水の冷たさが心地よかった。
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