パトリツィア・ホテル
それからは時間にすれば数十分だったけれど、とてもワクワクする冒険だった。

用意された船に二人で乗って、そしたら海賊が現れて、一生懸命戦って……

というか、本気で戦ってこてんぱんにやっつけたのは私で、新宮くんはただただ、笑いを堪えながら見ていただけだったけど。

そうして、取り返したネックレスを人魚に返すと、彼女は美しく無邪気な、満面の笑みを浮かべた。


「ありがとうございます、王子様にお姫様。あなた方は、私の恩人です」

「いやぁ、そんな大層なもんじゃないけどね」


ポリポリと頭をかく私に、彼女はにっこりと笑った。


「ネックレスを取り返してくれたお礼に、お二人に特別なプレゼントをします」

「えっ、プレゼント? 何、何?」


私はその言葉にワクワクと、身を乗り出した。


「どうか、受け取って下さい」


彼女は小さな箱をくれた。

それを開けると……


「これは……ペアリング」


箱には可愛らしい指輪が二つ、入っていたのだ。

人魚は白い歯を見せ、目を細めた。


「カッコいい王子様と、パワフルで頼もしいお姫様。あなた方お二人はとってもお似合いです。あなた方お二人に助けていただいたお返しに、この指輪をプレゼントします。お二人様、どうか、お幸せに……」

「あ、ちょっと……」


人魚は海に戻って行った。
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