パトリツィア・ホテル
「いやぁ、咲ちゃん。素敵だったよ。あのパワフルさと言ったら、なかったね」


着替え終わった私に、新宮くんは悪戯っぽい笑顔を向けた。


「いや、だって。ゆうちゃん、全然戦ってくれないんだもん」

「いやもう、咲ちゃんが強すぎるから。邪魔しちゃいけないじゃん」

「もう! 王子様とお姫様の立場が逆だったじゃない。というか、これ……この指輪。どうしよう?」

「どうしようも何も、俺達お揃いで貰っとけば?」

「えぇっ、そんな……」


恥ずかしい……と言おうとした時、私達はアトラクションの出口の前まで進んでいた。

出口では美しい魔女が、じゃれ合う私達を見てにっこりと笑いながら、本を一冊ずつくれた。


「これはあなた達だけの、素敵な夢の物語です。このお話は、あなた達にとってずっとかけがえのない宝物になるでしょう」

「わぁ、ありがとう」


私はそれを受け取って。

ドキドキ、ワクワクしながらページを開いてみた。


「すごぉい!」


思わず、その言葉が私の口から漏れた。

そこには、まさに私達が人魚の海で経験したこと……

白い砂浜で泣いている人魚を見つけた私が声をかけ、ネックレスを取り返すために海賊達と戦った。

その一部始終が、ところどころ、写真と共に物語となっていたのだ。
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