パトリツィア・ホテル
「すっごい! 咲ちゃん、持ってる〜! お城の使用人達も、予期だにしなかったお姫様失踪に大慌てだし!」


物語を読む新宮くんは、手を叩いて大笑いで。


「う〜…………」


私はグゥの音も出なかった。


「もう一度! もう一度だけ、お願い! 今度は妖精の森コース!」

「え、また!?」

「お願い! もう一回だけだから!」


躍起になる私に、新宮くんは笑いを堪えながら付いて来た。




緑のドレスに着替えを終えて妖精の森コースに入ると、フィギュアの妖精達が私達を出迎えてくれた。


「わぁ、可愛い……」


私は小さくて可愛らしい妖精達に微笑んだ。


「サキ姫様。動物達がお待ちかねですよ」


ラジコンか何かで操っているのだろうか。

私はまるで蝶々みたいに羽を動かして飛んでいる小さい妖精達に導かれて、その森の奥へと進んだ。


「わぁ……モフモフ!」


導かれて着いた森の広場では、毛がモコモコの動物達……ウサギにモルモットにチンチラなんかが、私を出迎えてくれた。

今度はラジコンではなく、本物で。


「キャハッ、くすぐったい!」


私はそれらの小さな動物達と戯れていた。


「あ、ゆうちゃん! ゆうちゃんも来てみてよ! フサフサですっごく可愛いんだから!」


私は遅れて森の広場に顔を出した新宮くんににっこりと笑いかけた。
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