パトリツィア・ホテル
しかし、新宮くんの顔は何だか、引き攣っているように見えた。


「あれ、どうしたの?」


すると、彼は小さな声で答えた。


「それが、俺……小さい頃に飼っていたハムスターに思いきり手を噛まれて。それ以降、動物が怖くて触ることができないんだ」

「えっ……」


意外だった。

完全完璧、怖いものなしだと思っていた彼に、まさかそんな弱点があっただなんて。

私はクスっと笑った。


「大丈夫よ。この子達は絶対に噛んだりしないから」

「あぁ……」

「そんなに怖がったら、この子達も怖がるわよ。私が持ってるから、怖がらずにそっと、触ってみて」

「分かった……絶対に、手を放したりすんなよ」

「私はそんな意地悪はしないって!」


彼は恐る恐るその手を出して、私の抱くウサギに触った。

彼が撫でると、フワフワのウサギは鼻をヒクヒクさせて、気持ち良さそうな顔をした。


「温かい……」

「ねっ! 全然、怖くなんてないでしょ」


そう言ってニッと笑いながら私は何だか、懐かしい気持ちになった。


そう言えば……あの日もずっとこうだった。

この広いテーマパークで迷子になったゆうちゃんを私が引っ張って、怖がりな彼を安心させてあげて。

そしたら、私も同じく迷子だったのに、何だか安心して。

温かい気持ちになったんだ。
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