カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

彼女は「おはようございます」と俺を追い越し、コーヒーメーカーにふたり分の紙コップをセットする。
「おはようございます」と返し、俺の分も淹れてくれている彼女の隣に立って、なにを話そうとしたんだっけと頭を捻る。安堵で飛んでしまった。大事なことだったはずーー。

「課長、明日は静岡に出張ですよね?」

こっちが考えている間、コーヒーを待っている彼女はコソッと耳打ちしてくる。

「そ、そうです」

コーヒーの香りに混じってふわっと彼女の香りがし、意識するとなぜか動けなくなる。さっきから思考が鈍るのはこのいい香りのせいだ。

「……あの、一応念のため。帰りに浜松駅の売店でもいいので皆さんにお土産を買って来てくださいね。人数は二十五人分。三十個入りのお菓子がいいと思います」

「……え?」

これはなんの話だ?

「連休中の前島(まえじま)さんも食べられるように、一週間は日持ちするものを選んでください。できれば、何種類か味が選べるものだと喜ばれますよ」

コーヒーを渡され、やっとこれは俺への助け船だと気づき、「ありがとうございます」と首を上下させて感謝を表した。
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