カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
変な期待で頭が埋め尽くされていく。
困惑して首をかしげている彼女を観察し、瞳の奥の本心を探った。
どっちだ。わからない。
でも、好きでもないのに、俺の家で食事をしてくれるはずがない。
上司だから断れなかった?
いや、彼女は流されがちなところがあるが、なんでもかんでも言う通りにするわけではない。できないものはできないと意外とはっきり拒否できる人だ。
もし本当に両想いだったなら、二週間後に俺と結婚してくれるつもりなのだろうか。
「隼世さん、大丈夫ですか?」
ーーうれしい。
俺は彼女と結婚したい。妊娠していなくても、気持ちを自覚してしまった今はもう、菜々花さんとの未来しか考えられない。
しかし手放しで喜びを感じようとすると、心にブレーキがかかった。
これは、彼女を騙していたことにはならないだろうか。
俺はひとつも嘘はついてはいないが、勘違いをしなければおそらくこんなに急いだプロポーズはしなかった。
本来なら付き合ってから数年の時間が必要だ。
二週間で結婚という大切な分岐を決断させることは、彼女にとって本当に幸せなのか。
「隼世さん? お料理冷めちゃいますよ?」
「えっ、あ、うん」
スプーンを持ち直し、冷えきったスープを再度口へ運ぶ。
わからない。俺はどうすればいいのだろう。
菜々花さんを幸せにしたいのに、大きく間違ってしまった気がする。