カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

「おかえりなさい、隼世さん」

パタパタとお風呂上がりの部屋着で玄関まで彼を出迎えた。いつも近藤さんがいたから、このパターンは初めてかもしれない。

「ただいま」

仕事モードだった隼世さんの表情が緩んだ気がして、うれしくなる。
まるで新婚さんみたいだな、と同居五日目にしてやっと感じた。

「お風呂入ったばかり?」

「はい。ついさっき」

乾かし足りなかったのか、まだ髪がしっとりとしている。
みっともなかったかな、と髪を耳にかけて整えた。

「隼世さん?」

彼は私を見つめたまま、動かない。

声をかけてもぼんやりとしており、鞄を受け取ろうと手を差し出したが、彼は難しそうな顔で目を逸らす。
「大丈夫」とつぶやいて私の横を通り過ぎる。

ポツンと残され、振り返ると彼の背中が自室へ入っていくのが見えた。

……胸がズキズキする。

私がリビングに移動して一分ほど立ち尽くしていると、彼は黒いトレーナーの部屋着に着替えて出てきた。

「あれ、ご飯先に食べててよかったのに」

ダイニングテーブルに並べられたふたり分の食器を見て、彼は言う。
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