カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

「……星野さん。あの、金曜の夜の件ですが」

切り出すと、彼女の持つコーヒーの水面が揺れ、彼女も動揺しているとわかった。
なにに動揺しているんだ?

「あー……いいんですよ課長。その件は気にしないでください」

星野さんは上擦った声でそう答え、コーヒーを飲み干し、渇いた笑いを浮かべる。

気にするなって、そんなの無理だろう。

謎を探る駆け引きに冷や汗が止まらなくなる。

「星野さん、そういうわけには……」

「課長のお気持ちは、うれしかったです」

え?

「でも私、まだ自分でも整理がついていないので。……保留にしてもらえますか」

ちらりと俺を見上げた彼女の瞳は潤み、切なく揺れている。

彼女は言い捨てて紙コップをゴミ箱へ放り、休憩室を小走りで出ていった。
残された俺は唖然とし、脱け殻になって立ち尽くす。

気持ち、整理、保留……?
いったいなんの話だ。

……そんな。
まさか俺、星野さんに告白したのか?
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