カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
ブツンと通話が切られ、私は受話器に向かって首をかしげる。
人事部から呼び出しなんて初めてだ。
パワハラ対策で抜き打ちの面談をされることは珍しくないが、たいてい向こうがこちらへ出向くケースが多かったはず。
でもまあ、呼ばれたのだから行かなくては。少し気分転換がしたかったし、ちょうどよい。
「課長」
すぐに立ち上がり、隼世さんの席の前へ。
彼はポーカーフェイスで仕事をしているが、なんとなく私と一緒ではやりにくそうなのが微かに態度に出ている。
「は、はい。どうしました、星野さん」
今も、不自然に私から目を逸らし、PCに夢中なふりをしている。
「人事部から呼び出しがあったので、五階のフロアへ行ってきます」
「人事部から?」
「はい。急な面談だとか」
彼も珍しいと思ったのか、一瞬、眉を寄せて首をかしげた。
しかし不振がるような用件ではないため、すぐに「わかりました」とうなずく。
自分の席に戻って軽く片付け、ハンカチや手帳、ボールペンだけを持ち、身軽な格好で総務部のフロアを後にした。