カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「……なんのお話でしょうか」
膝に手を置いて縮こまり、弱々しく尋ねる。屈服を表したつもりだったのだが、彼は余計に堀の深い眉を寄せた。
「単刀直入に言う。兄貴と結婚など許さない。あのマンションから出ていけ」
サッと頭が冷えていくのがわかった。
柔らかい口調だった斗真さんの強い語気、どす黒い感情をだだもれにした鋭い視線は、私への敵意で満ちている。
一瞬で理解した。やはりマンションに来た日、私がいることに勘づいたのだ。
私と隼世さんの関係がどこからバレたのかは知らないが、とにかく弟であるこの人は私たちの付き合いを認めてくれないということ。
家族の反対は覚悟の上だった。
結婚を決めた暁には誠心誠意お願いして認めてもらうしかないと思っていたが、まさかこんなに早く、しかも一対一で対面する事態になるとは想定外。
「で、でも」
私は〝手を引け〟と言われる筋合いはない。そこには自信を持っており、毅然として答える。
「私から結婚を迫ったわけではありません。よく考えて決めてほしいという隼世さんのお気持ちに誠意を持って応えているつもりです。反対されるなら、まずはお兄さんとお話ししてください」