カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
私は仕事用のバッグのポケットに手を入れ、昨日もらった名刺を出し、裏面を見つめる。続いてそれとスマホのダイヤル画面を照らし合わせながら、ひとつずつ数字をタップした。
打ち終わって「通話」を押してから耳に当て、プルルルと聞こえる呼び出し音に目を閉じる。
『はーい』
「……斗真さんですか? 星野です」
名乗ってすぐに相手は『おー!』と軽やかに声をあげる。そのノリが今の重い気分をさらにドン底へ押し付けてくるようで、私はスマホをギュッと握った。
でも今は、この人を頼るしかない。
『今日まで待つって言ったのに、なかなか連絡こないから心配したよ。決心ついた?』
「……はい」
予想よりこの失恋はずっとキツくて、マンションから出て行っても月曜日には職場で隼世さんと顔を合わせるのかと思うと苦しくてたまらない。
平然と仕事をこなせる自信がなく、きっとミスをして迷惑をかける気がしている。