カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
一応斗真さんに対しても罪悪感を抱えたまま、その日の業務を終えた。
「斗真さん、お疲れ様でした」
マネージャー席の前でお辞儀をして、踵を返してホテルに直帰しようと歩きだしたところで、斗真さんは「待て」と私の腕を掴んで引き留める。
「は、はい」
「星野さんさ、今夜時間ある?」
「……はい?」
初めてのパターンに戸惑って答えられずにいると、彼はウインクをする。
「歓迎会をしよう。豪華なディナーに連れて行ってあげる」
なんだそれ。私をけなしてくるくせに、いきなり親睦を深めるつもり? ……なにか裏があるんじゃないかな。
「予想外にきみは真面目にがんばってくれているからね。ご褒美さ」
「い、いえ、お気持ちだけで十分なので……」
「やだな、僕は今や直属の上司だよ? 兄貴にもそんなに冷たかったのか? 同じように振る舞ってくれないと不公平だな」
うう……たしかに。総務部にいた頃に隼世さんから誘われたとしたら、上司であっても応じただろう。相手が斗真さんだと拒否するなんて、それは公私混同していることになるのかも。
「わ、わかりました。歓迎会ということでしたら。お気遣いいただきすみません」
「いいえ。さあ、行こう」