カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~


斗真さんに連れられ、三十分車で移動して都内の高級ホテルへ到着した。ホテルには隼世さんとのトラウマがありギョッとするが、あのとき私が選んだビジネスホテルとは比べ物にならないほど、外観も内装も豪華である。

私は上下クリーム色のスーツにスカートで、ドレスコードにギリギリ適していそうでホッとした。

荘厳な柄のひと続きの絨毯を踏みしめながら、高い天井に並ぶシャンデリアの輝きにぼんやりと見とれる。

隼世さんも普段、高級ホテルで食事をするのだろうか。一度くらい私をこういうデートに連れ出してくれてもよかったんじゃないかな。

……いけない。そんなことを考えてはワガママで傲慢な女だよね。でも、私を嫌っている斗真さんでさえ簡単にここへ連れて来てくれるのに。隼世さんはいつも、私を好きだと言いながら行動が伴っていないのだ。責任感が強い反面、自分に嘘がつけないのだろう。
< 182 / 228 >

この作品をシェア

pagetop