カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「竹澤さん、今日はきっと斗真さんに無理を言って呼ばれたんじゃないですか? なんだか申し訳ないです」
本心を告げると、彼は微笑む。
「ははは。自分の秘書が恋人を探しているから食事でもどう、と誘われました」
「やっぱり……」
「でも今結構、星野さんに興味あります。ガツガツ来られる想像をしていたけどイメージと違うし、普通にかわいいですし」
誉められて、また心にモヤモヤと霧がかかる。お世辞でも男性にかわいいと言われているのだから、うっとりして微笑むべきなのに、どうしてもそういう気分になれない。
竹澤さんの話はそれなりに楽しくスマートだが、いつも職場の奥様方と話すような愛想笑いを繰り返しながら、失礼のないようにだけ気を付けて食事を続ける。
後はひたすら、コース料理の進行に身を任せていた。