カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~


「課長が弟さんに掛け合って、総務部へ連れ帰って来てください!」

「課長にしかできません!」

「今日は私たちが何時間でも残業して、課長の仕事を肩代わりしますから! 難しいことは全部部長にお願いして! 今すぐに星野さんを迎えに行ってください!」

佐藤さん、柏木さん、渡辺さんが代わる代わる喋りながら迫ってきて、やがてまた「お願いします課長!」「未来の奥さん連れ戻して!」「男気見せなきゃうちらの嫁はやらないよ!」と好き勝手な彼女たちの野次に包まれる。

「み、皆さん……」

パートさんは面倒な人たちばかりだと思っていた。苦手意識からコミュニケーションの取り方がわからず、ずっと心のどこかで無関心でいたのだ。

しかし今日、総務部の彼女たちでなければ、仕事を抜けて菜々花さんを迎えに行けと背中を押してくれる人はいなかっただろう。

俺は呆気にとられた顔を鋭いものへと戻し、男・加賀隼世として覚悟を決める。

「わかりました。皆さん、後はまかせました! 俺が必ず、菜々花さんを連れ戻します!」

パートさんたちの歓声に見送られながらオフィスを飛び出し、俺は大宮支社へと向かった。
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