カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
煙に撒こうとしていた斗真の意表を突くつもりの告白だったのだが、奴はクックッと笑いだす。
「なにがおかしい」
「いやべつに?」
「菜々花さんを返してくれ。彼女は大切なお嫁さんのような存在なんだ。……ん? あっ、違うっ、今のは総務部の女性たちにとってという意味で……」
なにを偉そうに嫁扱いをしているのだと自分を戒めるが、彼女がそうなってくれたら夢のようだという妄想がよぎり、顔が熱くなる。
「兄貴にとっては違うのか?」
斗真はそれを見逃さず、弱い俺をつつく。
俺はもう遠慮したり、気遣うふりをして我慢をするのはやめると決めたんだ。
「違わない。俺は彼女を……いつか、嫁にもらいたい」
俺の望みをまっすぐに口に出すと、斗真はアッハッハと高笑いを始める。
さすがに俺が眉をひそめていると、奴はパチンと指を鳴らした。
「だってさ、星野さん。聞いてたでしょ?」
ーーは?
斗真は、背後のクローゼットに向かって、そう問いかけた。