カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~
「課長……」
私の病気のことは、部長にも、パートさんたちにももちろん、まだ家族にも話していない。本当に課長だけなのだ。
不安なんです、という弱音は彼の前でしか吐けない。
「課長は優しいですね。あの夜も……。私、課長が初めてだったんですよ」
相談したのも、涙を見せたのも、課長が初めて。
私は手をお腹に添え、課長の前だからと堂々とさすってみせる。
「体調のことも気づいてくれたんですね。あれから、もしかして……って不安になってしまうことが多かったんですが。実は明日の有休で、産婦人科に行ってきます。そこではっきりしますから」
良性か悪性かがわかったら、真っ先に課長に伝えよう。手術をすることになっても、彼の仕事を増やさないよう、日程も相談したい。
本来なら、婦人科の病気の経過を上司に報告するのは気が滅入るところだが、はっきりと心配していると意思表示をしてくれる課長には話しやすい。
加賀課長が上司でよかった。
「どんな結果でも、なるべく課長には迷惑をかけないようにしたいと思っています。では、お先に失礼しますね」
最後に課長から声をかけてもらえ、明日に向けて勇気が湧いてきた。
ーーどんな結果でも大丈夫。私には課長がついているから。
そんな強い気持ちになりながら、会釈をしてオフィスを出た。