カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

【……申し訳ありません。考えが及びませんでした。明日はスマホを持ち歩くようにしますので、いつでもご連絡をいただければと思います】

ああ、落ち込んでいるのがわかる。文章から課長の切ない顔が思い浮かび、心が痛くなる。
しかしこればかりは、鈍い課長も悪い。

【ありがとうございます。おやすみなさい】

あちらからも【おやすみなさい】と返事が来て、やりとりを終えた。


◆ ◆ ◆


翌日、内診をされてもいいようにチェックワンピースの下に脱ぎやすいスパッツを履いて病院へ行ったが、今回は本当にMRIの結果を話されるのみらしく、すぐに婦人科の個室へ呼ばれた。

これから告げられるという実感がないまま、回る椅子に座り、マスクで表情の読めない女医さんを見つめる。

「結果なんですが」

いきなり。なんの前置きもなく始まる宣告に、ふたつの膝小僧が微かに震える。

「は、はい」

先生はPC画面を見ながら続ける。

「MRIでの所見は良性でした」

「……良性、ですか」

「はい。腫瘍の中身は皮膚や髪の毛で、皮様性の卵巣のう腫です」

先生は結果がわかりきっていたのかとくに喜ばしい態度を見せなかったため、私も喜びの言葉は控え、安堵の息を漏らすにとどめた。

実際は引っ掛かっていた魚の小骨が取れたかのごとくスッキリとしている。
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