カタブツ御曹司と懐妊疑惑の初夜~一夜を共にしたら、猛愛本能が目覚めました~

プロポーズをされ、ここでやっと心臓が跳ねだし、体が熱くなる。頭が付いていかずに「え、へ、あ」と変な言葉を発しながら目を泳がせた。

「う、嘘ですよね、そんな急に……」

「信じられない気持ちはわかります。しかし嘘はついていません。あなたと一生一緒にいたいと、心から思ったんです」

私がガンかもしれない、と不安になって気づいたということだろうか。
それにしても急すぎる。

「で、でも、そんなすぐに結婚をって急ぐのは、どうしてですか……?」

情報過多になっている今の頭で考えても彼の意図がまったくわからず、私は怪しむように眉を寄せて尋ねる。

課長も低くなった私の声に眉尻を下げたが、しかしすぐにピリッと強い眼差しに変え、

「今回のことはきっかけに過ぎません。すぐに結婚したいのは、あなたが好きだからです。好きだから一緒にいたい。ほかに理由はありません」

そう言ってのけた。

ぶわっと空へと舞い上がり、柔らかい雲に包まれるような甘美な感覚に溶けていく。

〝うれしい〟。
自分の心の第一声が聞こえてくると、それは胸にじんわりと広がり、染み渡っていった。

課長が、ずっと私を好きだったなんて。それも今すぐ結婚したいと言うほどに。

「……え、ええ」

「すぐに返事をするのは難しいとわかっています。ですからまずは二週間で、俺を見定めてください」
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