『まっとうなケータイ小説のススメ』

はじめの一歩!

<参考文章>『澄んだ瞳の少年』

部活帰りの電車の中、さっき乗り込んできた男の子は空いている席を探してまだうろうろとしている。


はっきり言って、うざいぞ少年!

世の中そんなに甘くないんだよ!


今日、あたしは部活で疲れ果てているのだ。君のランドセルがいくら重たそうに見えたにしたって、


絶対に席など譲るものか!


心の中でそんなことを叫ぶあたしがいる。
あー、イヤだイヤだ! こんな自分がまたイヤになる。


ごめんね僕ぅ……。


本当はおねえちゃん、いつもならもっと優しいんだよ。


……あー、イヤだイヤだ!


どうせあたしはサイテーだ!


だからもう、そんな目でこっちを見ないでって言ってるでしょ、今日の部活で、あたし本当に疲れてるんだってば……。

隣のサラリーマンは週刊誌を読んでいる。 
その隣のおばさんは居眠りしている。

あたしはケータイに文字を打ち込みながら、実はこうしてバカみたいな言い訳を少年にしているのだ。


あ、また来た。


あの淋しい目がまたあたしに助けを求めている……。


ああ、もう。

やっぱ、ほっとけないよぉ。


あたしの降りる駅はまだまだ先だけど、あの少年に励ましの言葉を打ち込んだら席を譲ってあげよう……。

 
冷たい世間なんかに負けるな!

がんばれよ――少年!

 
じゃ、よっこらしょっと……。

――――――――――――――――――――
 
ね、簡単だろ?

物語のきっかけはどこにでも転がっている。

この先、君ならどういう展開にする?

日常の中からヒントを見つけて、それを君なりの言葉、感性で大きく広げて素敵な物語を創り出そう。


但し、上記はあくまで参考のほんの一例にすぎない。

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