同期の御曹司様は浮気がお嫌い
「波瑠ちゃんがいてくれてよかったー。優磨に合鍵没収されちゃったから」
「そうなんですか?」
「波瑠ちゃんと住むからもう勝手に入ってくるなって」
ぷうっと頬を膨らませる美麗さんに苦笑する。合鍵を持っているほどだから以前は頻繁にここに来ていたのだろう。
「波瑠ちゃん料理上手なんでしょ? 今夜はパーッと飲もう!」
「え、すみません……私お酒弱くて……」
「そうなの? ざんねーん」
美麗さんはそう言いながらテーブルにお酒のボトルを並べていく。私が飲めないことが本当に伝わっているのか疑問だ。
洗濯物を取り込んでいるときも、夕食の準備をしているときも美麗さんは私にまとわりついて観察してくる。優磨くんにそっくりだ。
「へー服ってそうやって畳むんだー」
「いくら美麗さんでもこれは知ってますよね?」
「美麗は家政婦さんに全部お任せだから家事何もできない。この部屋も綺麗になってて驚いた」
まるで優磨くんのようだ。さすが姉弟。
テーブルに食事を並べると美麗さんは勢いよくワインのボトルを開ける。遠慮する私のグラスに並々とワインを注いだ。
「美麗女の子とご飯食べるの久しぶりー」
「そうなんですか? お友達とは?」
「もう何年も会ってないの。ほとんど家にいるし」
本当に『ほとんど家にいる』のか疑わしいけれど、美麗さんは「こういうの楽しい」と呟く。
「お泊りするのも美紗ちゃんと以来」
ああ、そうだ。この人は美紗さんの友達で慶太さんの婚約者だった人だ。私が今慶太さんのお店で働いていることは伏せないと面倒なことになりそうな気がした。
「波瑠ちゃんって美麗とも誠実に接してくれるよね。大体みんなお金目当てで近づいてくるから、奢ってだの買ってだの言ってくるのに」