同期の御曹司様は浮気がお嫌い
優磨くんの唇が私の唇に近づく。キスをされると思った瞬間下田くんにされた強引なキスを思い出した。
「やっ……」
つい顔を背けてしまった。
今の私は汚れている。このままキスをしたら優磨くんまで汚れてしまう気がしたから。
「波瑠?」
「あ……」
これではまるでキスを嫌がっているようだ。優磨くんが驚いたような悲しんでいるような複雑な顔をする。
「ごめん……がっつきすぎたね……」
「違うの……あの……ごめんなさい……」
思わず謝ってしまう。優磨くんにとても悪いことをしているような気持ちになる。
「最近やっぱりおかしいよね?」
「あのね……」
「波瑠……これどうしたの?」
「え?」
優磨くんは私の首にかかる髪を手で持ち上げた。
「これ何?」
「あ!」
優磨くんは目を見開いた。首の痣が見えてしまったのだろう。
「だめ!」
私は首に手を当て痣を隠して下を向く。優磨くんの顔がまともに見られない。
「どういうこと? それってさ……蚊に刺されたとかじゃないよね?」
困惑した声が私の胸に刺さるようだ。
「ねえ、それ俺がつけたものじゃないよ?」
「あの……これは……」
ピリリリリリリ
リビングに置いたカバンの中から着信音が聞こえる。下田くんかもしれない。
着信を切ろうと優磨くんから離れて足を踏み出すと、優磨くんの手が私の肩を掴んで体を壁に押し付けた。逃げられないように私の体の左右に手をつく。
「っ!」
普段の優磨くんからは考えられない行動に私の体は凍りついたように動かなくなる。
「行くな」
その怒りを含んだ低い声に息を呑んだ。
「説明して。その痣は何?」
「あ……」
冷たい目を向けられる。何度か怒ったところを見てきたけれど、今が一番怖い。