同期の御曹司様は浮気がお嫌い
車を止めた場所はお洒落な街として有名な場所だ。ハイレベルの大学や有名企業が多くあり、少し歩くと高級住宅地になる。店はどれも単価の高い飲食店や服屋ばかりだ。駐車場の店は私なら絶対に入らないだろう高そうな服屋だ。
「優磨くんはいつもこの辺で買い物するの?」
「服とかスーツはね」
優磨くんは嫌そうな顔をして「特にスーツは良いもの着ないと舐められる」と呟く。優磨くんのような人でも舐められることがあるのかと不思議に思う。
「波瑠」
名を呼ぶと優磨くんは私に手を差し出す。それがどういう意味か分かったから、私は優磨くんの手に照れながら自分の手を重ねる。
店に入ると私にはあまりにも場違いで逃げたくなる。飾られた服はどれもお洒落で、店員さんも美人で似合う服を着ている。
「彼女に合う服を見繕ってください」
優磨くんが店員さんに声をかけると「かしこまりました」と答えた店員さんに試着室に連れていかれ、何着か服を渡される。
締め切られたカーテンの中で私は戸惑った。値札に書かれた数字の大きさに恐ろしくなる。何よりも量販店の服しか着ない私にはハイブランドの服が似合うと思えない。
「波瑠?」
外から優磨くんが声をかけてきた。
「大丈夫?」
「ああ、うん!」
慌てて渡された服を着てみた。鏡を見ると服はとても可愛い。けれど似合っているのか疑問だ。
「どうかな……」
カーテンを開けると優磨くんは照れたように笑っている。
「うん……とっても可愛いよ……」
その言葉に私も恥ずかしくなる。本心なのかお世辞なのかわからない。
「とてもお似合いです」
店員さんに「こちらもどうぞ」と次の服も渡される。