同期の御曹司様は浮気がお嫌い
結局何着も試着して、優磨くんはその全てを「買います」と告げる。
「いやいやいや……」
店員さんから聞いた総額が桁違いに高くて買えるわけがない。けれど優磨くんは「これで」とクレジットカードを店員さんに手渡す。
「だめだよ優磨くん!」
「なんで? 俺が買いたいのに?」
「でも……」
「全部波瑠に似合ってるよ。それも今から着て行こう」
私は試着した服をまだ着ている。「このまま着ていきます」と優磨くんが店員さんに言ったときには顔が青ざめた。
「次は靴だね」
大きな紙袋を持って店を出ると優磨くんは道路を見渡した。
「え? まだ買うの?」
機嫌よく車を走らせた優磨くんは数十メートル行ったところで再び車を停める。
これまた上品な靴が並ぶ店内に手を引かれると「彼女に合う靴を」と何足も履かされた。
ここまでぺたんこなパンプスを履いていたのに、新しくヒールの高いものに足が包まれる。
私の全身は今総額いくらなのだろう。自分が自分でなくなっていく感覚で倒れそうになる。
買ってもらった靴を履き、慣れない歩き方になる私に合わせて優磨くんもゆっくり歩いてくれる。
車に紙袋を入れると後部座席は埋まってしまった。
「次はアクセサリーとバッグだね」
「ちょっと待って!」
私は慌てて止める。
「もういいって! これ以上は分不相応だから」
「そうかな? 波瑠には相応しいよ。どれも似合って可愛い」
真顔でそう言う優磨くんに言葉が出ない。
「でも……」
目の前に優磨くんが立つといつも以上に顔が近い気がする。
「ヒールが高いと波瑠の顔も近づくね」
恥ずかしくて微笑む優磨くんから顔を逸らしてしまう。