同期の御曹司様は浮気がお嫌い

「ゆっくりしていって。向こうに一席確保してるから」

慶太さんはテラス席を指さした。

「いや、他のお客さんに悪いので並びますよ」

「あそこは今日客席として開放していない特別席だから大丈夫。城藤の御曹司を並ばせるわけにはいかないしね」

「では社長のご厚意に甘えまして失礼します」

慶太さんに案内されてモールのオシャレな店舗や花壇が見える開放的な席に案内された。

「パンは自由に取ってね。飲み物は従業員に頼んで」

「ありがとうございます」

優磨くんとケースに並んだパンを選びながらワクワクしていた。定番からオリジナルまでたくさんのパンがある。

「パンの考案は慶太さんのお父さんと妹さんなんだ。経営に関わることは慶太さんがやってる。慶太さんの奥さんが子育ての合間に事務をやってるんだ。5店舗目の話も進んでるらしいよ。来月か再来月オープンだって」

「本当にすごい……」

優磨くんの家庭教師をしていたというのも納得。若いのにすごい経営手腕だ。

食事が終わると店の事務所に案内される。慶太さんが従業員と話し終わると、私と優磨くんにイスに座るように促す。

「さてと、波瑠さん」

「はい」

「率直にこの店をどう思いましたか?」

「え? えっと……」

突然の質問に驚いたけれど素直に思ったことを伝えた。パンの感想、店舗の雰囲気、内装、従業員さんの接客まで。どれも文句のないほど素敵で楽しい時間だった。

「ありがとうございます」

「いえ……」

「じゃあ働いてみますか?」

「へ?」

「再来月新店がオープンするんです。そこのスタッフとして働いてみませんか?」

驚いて慶太さんと優磨くんを交互に見た。優磨くんはニコニコして私を見返す。

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