同期の御曹司様は浮気がお嫌い
そこまで言われては警戒しつつも行くことにした。優磨くんの名前を出してきた下田くんに逆らわない方がいいような気がした。
呼び出されたのはカラオケボックスだった。
薄暗い部屋のドアを開けると中にはジャージ姿でボサボサ頭の下田くんがソファーに座っていた。
「呼び出して悪いね」
「要件は何?」
私は下田くんと距離を取ってドアの近くに立った。
「まあ座りなよ。長くなるから」
そう言われ、警戒しつつも仕方なく手前のソファーに座った。
「優磨とは順調に付き合ってんの?」
「そんなこと知ってどうするの?」
「元カノの近況を聞いたっていいだろ」
「順調ですけど」
ぶっきらぼうに答える。今更下田くんがそれを知ってどうするというのだ。
「城藤の御曹司なんだから、さぞいい暮らしをしてるんだろうな。でっかい屋敷か、タワーマンションか。車も良いやつ乗ってるんだろ? スーツも高級なの着てさ。波瑠も贅沢な暮らしさせてもらってるみたいだし」
否定も肯定もせず黙って下田くんの言葉を聞いていた。私からは何も答えるつもりはない。
「俺にもその恩恵に与らせてよ」
「え?」
「元同期なんだからいいだろ? 俺も良い生活がしたいんだよ」
「何を……言ってるの?」
「金が要るんだよ」
この言葉に青ざめる。
「は……?」
「城藤財閥の人間が不倫してた女と付き合ってるなんて知れたら一大事なんじゃないの?」
怒りで肩が震えてきた。
「どういう意味? 私は不倫してたつもりはないんだけど……」
「周りはそう思ってないから俺たち減給処分食らったんだろ? 波瑠の過去が優磨の会社にバレたらやばいんじゃないの? あいつの親だって波瑠のことを認めない」
「なにを……」
「優磨の会社に黙っててやるから金ちょうだいよ」
私は勢いよく立ち上がって下田くんに近づき頬を叩いた。パンッと乾いた音が部屋に響く。頬を押さえた下田くんは笑いだす。