同期の御曹司様は浮気がお嫌い

「くくっ……暴力を振るってるってのもマズいよなぁ。優磨の立場がやばくなるんじゃないの?」

手が震える。怒りで自分を抑えられなかったことが悔しい。目の前の男がとにかく恐ろしい。

どうしてこうなったの? 私の何がいけなかった? どうしたら優磨くんを守れる?

「そう怯えないでよ……金さえもらえれば黙ってるって言ってるの」

「いくら……いくらが望みなの?」

「百万」

「え……」

「百万円ちょうだい」

「無理……そんな大金用意できない」

「なら優磨に言えよ。城藤ならそれくらいの金ぽんと出せるだろ?」

「できない……優磨くんには迷惑かけられない……」

「できる。波瑠が可愛く甘えれば出すよ。親に認められないと優磨も嫌だろうし」

「ほんと……最低……」

下田くんは意地悪く笑う。見下ろしているのは私なのに、圧倒的に立場が弱いのは私だった。

「まあ波瑠は優磨に言えるわけないと思ったよ。なら波瑠が用意して。優磨の立場が悪くなると波瑠も困るでしょ?」

「どうやってそんな大金……」

「分割でもいいから。波瑠が払えなくても優磨の口座から少しずつ抜いていけばいい」

目が潤んできた。悔しくて悲しくて怖い。私はどうしてこんな男と関わっていたのだろう。

「お断りです!」

私は勢いよく部屋を飛び出した。

下田くんも自暴自棄なんだ。私と同じで会社での立場が悪くなったから八つ当たりしているんだ。
そうだよ、そうに決まってる。きっと今のことは本気じゃないはず……。










あれから相変わらず下田くんから連絡が来る。
今までは数日おきだったのが毎日電話がかかってくるようになった。
『金はいつになる?』とLINEも送ってきて、まるで借金取りに脅されているような気持になる。

< 97 / 162 >

この作品をシェア

pagetop