副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
副社長室にやって来た空斗。
ノックをして入ってゆくと、真面目な顔をして仕事をしている宇宙がいる。
「宇宙、これ見ておいてくれ」
書類をデスクの上に置いた空斗。
「ん? 」
真面目な顔をしてパソコンを見ている宇宙。
だが…
口元にピンク系の口紅がついているのが見えた。
「あれ? …まさか…」
空斗は涼花の口紅も、同じ色だったことを思い出した。
あ…そうゆう事か。
まぁ、宇宙が惹かれるのも分かる。
あの子は…似ているから…。
「宇宙、ちょっといいか? 」
「なに? 」
手を止めて顔を上げた宇宙。
コホンと咳ばらいをして、空斗はちょっと意地悪そうに宇宙を見た。
「お前。いつから口紅つけるようになったんだ? 」
「え? 」
ドキッとして、デスクの引き出しから鏡を取り出して顔を見た宇宙は驚いて赤くなった。
あわててティッシュで口を拭く宇宙を見て、空斗はやれやれと笑った。
「会議前に気づいて良かったな。そのまま行ってたら、大騒動だったぞ」
「い…いやこれは…きっと来る途中で…。その…」
しどろもどろで、何か言い訳をしようとする宇宙を見ると、空斗は笑えてきた。
「何を慌てている。別に普通の事じゃないのか? お前もそろそろ、ケジメ付けた方がいい。いつまでも、嘘の情報のままではいけないと思うぞ。それに、今は怪我で入院していない屋崎さんだが。ここの所、かなりエスカレートしていた。あの子の実家には、お前と結婚したと年賀ハガキが届いていたそうだぞ」
「あの子って…風香(ふうか)の事? 」
ちょっと怒ったような目をして、宇宙は空斗を見た。
「ああ、お前には話していなかったが。風香ちゃんがいなくなった後、風香ちゃんのご両親が亡くなられたそうだ。親戚の叔父さんと言う方から、報告があった。その時、これは必要ありませんのでと言って、年賀はがきが戻されて来たんだ。そこには、屋崎さんが風香ちゃんの実家に送ったお前との結婚を知らせる内容だったよ」
「はぁ? なんだよそれ。誰が結婚なんてするかよ! ふざけんな! 」
乱暴にティッシュをゴミ箱に捨てた宇宙。