副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
いつも医務室には、専属の医師が待機しているが今日は主張で不在だった。
「火傷しなくて良かったな。ちょっと待ってろ、着替え持って来てやるから」
「いえ、いいです。今日は、午後から退社しますから…」
「ばーか。何言ってんだよ、そんな恰好じゃ外だって歩けないじゃないか。10分で戻るから、そのままでいろ。ここは、鍵かけておくから安心しろ」
それだけ言うと、宇宙は医務室を出て行った。
宇宙が去った後、涼花は正直不安だった。
突然、熱湯にも近いうどんのつゆをかけられて、驚いたよりも怖かった。
だがすぐに駆け付けてきてくれた宇宙に、嬉しさを感じてしまった。
どこからか涼花の中で「好き」と言う気持ちが込みあがってきた。
相手は副社長、自分とは立場が違う。
セフレにしてもらっているけど、きっと気まぐれに決まっている。
でもどうして?
こんなに優しくしてくれるの?
何となく混乱する涼花は、自分の気持ちが判らなくなっていた。
しばらく待つ事10分ほどで、宇宙が着替えを持って帰って来た。
「これに着替えろ」
宇宙が持ってきたのは、可愛いデザインのピンク系のワンピースと、紺色の可愛い襟のデザインのジャケットだった。
ワンピースを着たことがない涼花は、ちょっと着る事に戸惑っていた。
「何しているんだ。早く着替えろよ」
と、言いながら涼花の服を脱がせて行く宇宙。
サッサと手早く服を脱がされてしまい、キャミソールだけになるとハッとなり両手で胸を隠した涼花。
「ん? 」
恥ずかしそうに肩を竦めた涼花を見て、宇宙はフッと笑った。
「恥ずかしがるなよ」
スーッと手を伸ばして、そっと涼花の頬に添える宇宙。
「俺にだけだぞ、こんな格好見せるのは。他の男に見せたら、承知しないぞ」
ちょっと真剣な目で見つめてきた宇宙に、涼花はドキッとした。