副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
そのまま着替えを済ませた涼花は、午後からは退社することにした。
宇宙が送ってゆくと言ったが、一人で帰れると断った涼花。
下まで送るからと言って、エントラスまで涼花を送ってきた宇宙。
ビルの外に来ると、涼花は財布を取り出した。
「あの…これ、クリーニング代です」
と言って、涼花が宇宙に渡したのは1万円札だった。
「先ほど、副社長のジャケットを汚してしまいましたので。これでも、足りないかもしれませんが」
1万円札を見ると、宇宙はなんとなくズキンと胸が痛んだ。
お金を渡されるなんて。
そんな気で助けたわけじゃない。
そう思った宇宙はそっと首を振った。
「いらない」
「でも…」
「お金なんていらない。その代わり、週末にまた会ってくれたらいい」
会うって…セフレとして?
そう思って涼花はじっと宇宙を見た。
「話したいことがある。場所は連絡するから、必ず空けてくれ」
話したい事って何だろう。
セフレとして会うなら仕方ないだろう…。
「分かりました。空けておきます」
「よろしく! 」
ニコっと笑った宇宙。
その笑みはいつもの小悪魔のようだった。
涼花が歩き出し、宇宙はビルの中へ戻って行った。
しかし、何となく気になり。
立ち止まって振り向いた宇宙。
遠ざかる涼花の姿をじっと見ていた宇宙。
すると。
黒いスーツの男性が涼花に歩み寄ってきた。
ん? と、宇宙は目を凝らした。
涼花に歩み寄ってきた男性は、丁寧に挨拶をした。
そのまま涼花をつれてゆくと、高級車に乗せた。
男は運転席に乗り込んだ。
走り出した車。
宇宙は驚いて見ていた。
「すげぇ車だなぁ。あいつ…そう言えば、親戚が財閥だと言っていたが…。まさか…」
宇宙は急ぎ足で副社長室へ戻って行った。