副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
「隣に写っている人は、今でも俺の妻だ。生涯愛すると誓った人を、簡単に忘れられるほど俺は薄情ではない。俺が、心から愛した人だから」
なんで? …だって…。
(相手側から離婚用紙が送られてきていたよ)
(…そうですか…)
(どうするの? 記入したら、送り返してくれと書いてあるが)
(分かりました。…何も分からないけど、そう望まれているなら。お相手の人生を、これ以上は拘束できませんので…)
涼花は何も分からないまま離婚用紙にサインをした。
あの時、自分から離婚用紙を送りつけて来たのに。
どうして今更離婚していないなんて…。
「話したい事があると言ったろ? 」
「はい…」
「それは、俺が離婚はしていない事と、重乃と結婚はしていない事だ」
ズキン!
強い痛みが頭に走り、涼花は頭を押さえた。
「どうした? 」
頭を押さえている涼花が、苦痛な表情をしている…。
宇宙はそっと涼花を抱きしめた。
頭を押さえる涼花の手に、手を重ねた宇宙。
すると
(キャーッ! )
悲鳴を上げて階段を転がり落ちる場面が見えてきた。
(あんたなんか死ねばいい! あんたみたいなブスが、副社長と結婚なんてありえないでしょ! )
上から目線で怒鳴りつけている重乃の姿が見えた。
(このまま死ねば? ここは、めったに誰も来ないんだから。発見されたときは、アンタはもうこの世にいなわ! )
(…っ…誰か…助けて…)
息も絶え絶えの声で助けを求める声が聞こえる…。
(誰も来やしないわ! じゃあね、醜いブス女さん! )
重乃はそのまま去って行った。