副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
「俺は…いつも自分の感覚を信じている。…だから容姿は全く気にしていない。…俺の奥さん、風香って名前なんだけど。…初めて見たときから、胸がキュンと鳴って忘れられなかった。…何度も交際を申し込みして。何度も断られ、それでもあきらめられなくて。どうにか結婚したくて、最終手段に使った手口は…寝ている間に、連れてきてしまう事だった…」
ふわりと…なんとなく暖かい空気を感じた涼花。
(目が覚めた? 今日から、あんたは俺の奥さん)
(そんな事…勝手に決めないで下さい! )
(だめだよ、断ったら。ちゃんと、もうあんたのご両親と契約しちゃったからさっ)
(契約? )
ニコっと笑う宇宙。
(あんたのご両親に、契約金として10憶支払ったんだ。病院、困ているようだったし)
(え? )
(それにさっ、この状況じゃ。もう、結婚するしかないでしょう? )
パッと布団から出た宇宙。
宇宙は全裸でニコっと笑った…。
「…あんなお金言われたら、買われて来たって思われても仕方なかったって。ずっと後悔していたけど…。いなくなったのは、俺のせいだってずっと思っている。…」
何も分からない涼花だが。
何故か宇宙の言葉が胸にしみてくる…。
(俺、アンタの事が本当に好きだから。どうしても、結婚したかった。顔なんて気にした事は、一度もなかった。…だから…もう二度と、自分を責めたりしないと約束してくれ…)
遠い記憶で聞こえてくる宇宙の声。
私は…この人と結婚していた…。
でも…離婚用紙を送りつけてきたのは…。
グッと込みあがって来る気持ちが、スッとどこかに入って行くように感じた涼花。
「…だったらどうして? 離婚用紙を、送りつけてきたのですか? 」
茫然とした目で一点を見ている目で、涼花が言った。
「…何も分からないのに…痛みと真っ暗な闇しか見えなかったのに…。貴方からの離婚用紙で、結婚していた事実を突きつけられたのに…」
ギュッと拳を握りしめた涼花…。