副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「俺から離婚用紙が? どこに送られて来たんだ? 」

 宇宙は冷静な顔で尋ねた。

「…実家に届いたものを、親戚の叔父さんが届けてくれました…」
「親戚の叔父さん。その人は、東条さん? 」

「はい。…私を助けてくれたのは、叔父さんの弟ですから」
「弟さんって、その人はお医者さん? 」

「そうです。母の弟で、腕利きの外科医です…」

 なるほど…。
 さっき見えたのは、その人か…。


「ちょっと、落ち着いて聞いてほしい」

 そっと、宇宙は涼花の手に手を重ねた。

 ハッとなり、涼花は宇宙の手を振り払った。

「どうしたんだ? ちゃんと聞いてほしいんだ」

「嫌です…。もうあんな思いをするのは嫌です! 」


 
 とっさに涼花は立ち上がり、リビングを出て行った。

「ちょっと待て! 」



 
 涼花は玄関に来た。


「ちょと、待てって! ちゃんと話を聞いてくれ」

 腕を掴まれると涼花は震えていた。

「…嫌です…。もう嫌です! 」

 宇宙の腕を振り払うと、涼花は恐怖に満ちた目で睨みつけた。

「…あの時…死んでいたら良かった…。こんな思い、2度もするなんて…。誰とも結婚なんかしないって決めていたのに…貴方が強引に連れ来るから! 」

 叫んだと同時に、涼花は頭を押さえてその場に蹲ってしまった。


「…ごめん…」

 蹲っている涼花を、宇宙はそっと抱き寄せた。


「俺が護ってあげれなかったから。…怖い思いをさせてしまった。一生護るって決めたのに。こんなにも、辛い思をさせてしまった…許してくれなんて言えない…。ごめん…」


 抱きしめている宇宙の声が上ずっている…。


「俺の事、許さなくていい。…憎み続けてもいいから…。アンタを好きでいる事を、許してくれないか? この気持ちだけは、止められない…。この5年間ずっと、揺らいだことはなかったから…」

 震えていた涼花が、落ち着いてきたのを感じた宇宙は、そっと涼花を抱きかかえリビングに連れて行った。


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