副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「見て見ろよ。すげぇ宇宙が広がっているだろう? 」
 言われて涼花も窓の外を見た。
 ギュッと宇宙に抱きしめられぬくもりを感じると共に、逞しい体に触れると何故かホッとする気持ちが湧いてくるのを感じた涼花。
 
 トクン…トクン…
 宇宙の鼓動が背中から伝わって来るのが心地よい。

 宇宙の鼓動を感じながら見ている夜景はとても優しくて…。
 とがっていた涼花の気持ちが和らぐほどだった。

「…この夜景は…心から愛する人と見たかったから…」

 え? 
 消え入りそうな声で宇宙が言った。

 涼花の耳には良く聞こえなかった。
 聞き返したかったが、そこまではできなくて…

「そろそろ出よう。着替え、置いておいたから」

 それだけ言うと、宇宙は先に上がって行った。


 宇宙の後姿を見ながら涼花は複雑そうな顔をしていた。


 涼花がお風呂から出ると、可愛いピンクの下着が用意してあった。
 パジャマもピンクの花柄の上下で可愛い。
 ピンクのふんわりした形で、可愛いレースが着いている下着とお揃いのショーツを手に取り、涼花はちょっと戸惑っていた。
「こんな下着…着たことがないけど…」

 
 涼花の着ていた服と下着は既に洗濯機に入れられていた。仕方がなく、用意された着替えを身に着ける事にした。



 何となく気が引ける気持ちで、涼花はリビングに戻ってきた。

「これ、湯上りにどうぞ」

 と、宇宙が渡してくれたのは美味しそうなアセロラジュース。

 可愛い熊さんの絵柄のマグカップに入っているジュースを渡され、涼花は何となく嬉しかった。


 素直にジュースを飲んだ涼花。


「それじゃ、行こうか」


 そっと涼花の手を握って歩き出する宇宙。



 
 連れて来たのはベッドだけが置いていある寝室。
 広い洋室にダブルベッドと、クローゼットだけでカーテンは爽やかなブルー。

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