副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
トクン…トクン…。
力強い宇宙の脈を感じた涼花は、同時にちょとだけ痛みを感じた。
感じた時と共に声が漏れた涼花に、そっとキスをした宇宙。
シーツを握りしめている涼花の手をとって、背中に当てさせた宇宙。
「俺につかまっていろ。一人じゃないんだ。…これからは、俺が傍にいるから…。安心しろ」
なにを言っているんだろう…。
でも嬉しい…。
そう思った涼花。
グイッと奥まで宇宙が入ってきた。
体の奥まで繋がって…
愛している…離れたくない…。
そんな思いが伝わってきて、涼花は素直に嬉しかった。
この人とどこかで会っている私…。
こんなに好きって気持ちが伝わって来るのはなんで?
ギュッと強く繋がると、何も言うことはない…
素直に好きだという気持ちだけが伝わってきた。
しばらくして。
宇宙は涼花をギュッと抱きしめたまま眠っていた。
涼花も宇宙の腕の中ですやすやと眠っている。
うとうとと目を覚ました宇宙。
眠っている涼花を愛しそうに見つめ、そっと髪に触れた。
「ばーか…突然いなくなりやがって…。やっと見つけた…」
眠っている涼花をギュッと抱きしめた宇宙は、泣いていた…。
「俺が愛しているのは、アンタだけ…。良かった生きていて…」
そっと涼花の頭を撫でた宇宙。
ふと、後頭部に触れたときズキンとした痛みを感じた宇宙。
もう一度後頭部に触れてみると…
(助けて! 誰か! )
叫ぶ声が聞こえた。
「今のは…」
何の声なのか判らず考え込んだ宇宙。
そっと涼花の前髪をかき上げると。
こめかみ付近に傷跡があった。
ちょと古くなっている傷跡…。
「…こんな傷なかったが…。何があったんだ? 」
「ん…」
うつらうつらと、涼花が目を覚ました。
ぼんやりした目で宇宙を見つめる涼花。