副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~

「…ごめんなさい…私のせいで…」
 焦点が合っていない目で涼花は宇宙を見て謝りだした。
「私のせいでいつも…貴方に辛い思いばかりさせてしいまい…ごめんなさい…」

 なにを言っている?
 そう思った宇宙だが。

(ごめんなさい。いつも、私のせいで貴方が辛い思いをしているの知っています。…ごめんなさい…)

 宇宙が思い出したのは離婚したと言われている前妻の声だった。

 涼花と同じような目をしていつも謝ってばかりだった前妻。その言葉を聞くのが宇宙は辛かった…。


 何も言わずにギュッと涼花を抱きしめた宇宙。

 
 スーッと眠ってしまった涼花。
 だがハッと目を覚ました。

 目を覚ました涼花は、目の前に逞しい宇宙の体が見えてびっくりして離れようとしたが、ギュッと強い力で抱きしめられていて離れることが出来なかった。

「このまま朝まで離さない。…いや、俺が離れられない…」
「何を言っているのですか? 離れて下さい」
「嫌だ。今夜は、アンタは俺のモンだ。離さない」

 困ってしまった涼花。

 だが暫くすると、またスヤスヤと眠ってしまった。



 宇宙もいつの間にか深い眠りに入ってしまい。

 そのまま朝までぐっすり眠ってしまった。

 
   

 宇宙と涼花が何故こんな関係になってしまったかと言うと。

 
 仕事が終わり定時になり、涼花は退社して帰宅するために歩いていた。

 ピピッ。

 携帯が鳴り電話に出た涼花。

(北里さんよね? 私、屋崎重乃。副社長の妻よ)
 重乃の声を聞くと、涼花はちょっと寒気がした。
(北里さん。最近、私の夫に随分と着きまとっているようね? )
「いえ、仕事上の関りしかありませんが」
(嘘おっしゃいよ。一緒にランチしている所、見たわよ。それに、わざわざ珈琲を入れてもらっていた事もあるじゃない? )
 言われて、確かにランチに誘われ一緒に行ったのは事実、そして仕事の合間に珈琲を持て来てくれた事もある。
 何故知っているのだろう?

 防犯カメラをしょっちゅう見ている?
 それとも監視カメラでもつけている?
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