副社長が私を抱く理由~愛と殺意の先に~
因縁とも言われるあの階段は、怖い言い伝えが残され今はだれも使わないようになった。
1階下に降りるにしても、エレベーターで降りて行き階段は使わなくなった。
真夏の太陽の下。
風香は北条家のお墓にやって来た。
「お父さん、お母さん。私、風香に戻りました。…そして、あの人と一緒に生きる道を選びました。これで、良かったのよね。…新しい命も、来てくれたんだもの…」
お腹に手をあて、風香はそっと微笑んだ。
「ここまで来るまでに、沢山の人が死んでいったことは悲しいけど。私も一度死んで、生き返ったから。…今は、生き残ったことをとても感謝しているの。…忘れてしまう事も少なくなって、昔の事も思い出せるようになったから…もう、心配しないでね…」
北条家のお墓を見つめ風香はそっと微笑んだ。
キラキラと真夏の太陽が輝く中北条家のお墓も光に包まれていた。
お参りを終えて、風香が霊園から出てくると宇宙が待っていた。
今日は仕事で、風香だけ休みをとっていただけで。何故ここに宇宙がいるのか、風香は驚いた。
「ちゃんと報告してきたか? 」
優しい笑みを浮かべて宇宙は風香の傍に歩み寄ってきた。
「はい…」
「そっか。一人で行きたかったのか? 今日は」
「あ、いえそうゆうわけではなく…」
ツンと風香の額をつついた宇宙。
「あんたが休みとっているから、なんか変だと思って俺も休みにしてもらったんだ。朝はちょっと、どうしても用があって出勤したが。きっと、ここに来ているんじゃないかと思って来てみた」
「ごめんなさい。…隠しているつもりではなかったので…」
「謝ることはない。ただ、行き先だけは言ってくれないと。何かあったら、どうするんだ? 」
「はい…」
宇宙はそっと風香のお腹に触れた。
「一人じゃないだろう? 大切な体なんだから」
「…はい…」
そのまま風香の手を握って、宇宙は歩き出した。
そのまま車で来ていた宇宙と一緒に、風香も乗ってレジデンスに戻る事にした。