エチュード〜さよなら、青い鳥〜
ピアノ室のドアを開ける。
初音は一心不乱にピアノを弾いていた。荒々しく、力みすぎなくらいだ。ミスタッチで生まれる不協和音も気にせず、叩きつける。音を楽しむ音楽ではなく、感情を吐き出す為の音楽。
ピアノしか見ていない。四辻が部屋に入ってきたのも、気づいていない。
全体的に力強い音が多いこの曲は、最後には長調に変わって雄大に華々しく終わる曲、のはずだ。
だが。
不意に初音の手がピタリと止まる。あれほど鍵盤の上を荒れ狂うが如く跳躍していた指が、鍵盤から離れた。
「…次のコンクール用?」
「え?」
顔を上げた初音は、四辻の姿を確認した。
聴かせるつもりで弾いていたわけじゃない。自分の心の赴くままピアノにぶつかっていただけだ。最後まで弾きたくても、これ以上は指が動かなくて続けられなかった。自分でもわかる。負の感情を吐き出しただけの、酷い演奏だった。
彼には、綺麗な美しい音だけを聴いて欲しかった。こんな演奏を聴かれたことにショックを隠しきれず、初音は四辻から目を逸らして、力なく首を横に振った。
「まだ、エントリーするコンクールは決めてない。もう、帰る?」
「今日のところは、帰る」
「そう」
初音は一心不乱にピアノを弾いていた。荒々しく、力みすぎなくらいだ。ミスタッチで生まれる不協和音も気にせず、叩きつける。音を楽しむ音楽ではなく、感情を吐き出す為の音楽。
ピアノしか見ていない。四辻が部屋に入ってきたのも、気づいていない。
全体的に力強い音が多いこの曲は、最後には長調に変わって雄大に華々しく終わる曲、のはずだ。
だが。
不意に初音の手がピタリと止まる。あれほど鍵盤の上を荒れ狂うが如く跳躍していた指が、鍵盤から離れた。
「…次のコンクール用?」
「え?」
顔を上げた初音は、四辻の姿を確認した。
聴かせるつもりで弾いていたわけじゃない。自分の心の赴くままピアノにぶつかっていただけだ。最後まで弾きたくても、これ以上は指が動かなくて続けられなかった。自分でもわかる。負の感情を吐き出しただけの、酷い演奏だった。
彼には、綺麗な美しい音だけを聴いて欲しかった。こんな演奏を聴かれたことにショックを隠しきれず、初音は四辻から目を逸らして、力なく首を横に振った。
「まだ、エントリーするコンクールは決めてない。もう、帰る?」
「今日のところは、帰る」
「そう」