エチュード〜さよなら、青い鳥〜

「マーマ、イッヒ リーベ ディッヒ」


涼音の口から飛び出したドイツ語に、初音は驚いた。思わずマーシャとクラウゼ教授を見る。


「聞いた?涼音が!」
「あぁ、聞いた!いつの間に覚えたんだろうね、頭のいい子だよ!」

マーシャとクラウゼ教授が顔を見合わせてはしゃいでいる。



「イッヒ リーベ ディッヒって?」

一人、涼だけがその輪に入れず首を傾げる。

「あぁ、ドイツ語で『愛してる』って。初めて言ってくれたの!おしゃべりが少しずつ上手になっていくわ」

「それはすごい!成長の瞬間に立ち会えたんだな」

涼も顔を輝かせて、涼音を見た。

「スズネ、マーシャにも言っておくれ」
「まーちゃ、イッヒ リーベ ディッヒ!」
「ひゃあ、可愛い!!うれしいねぇ」

「次は、オーマにも」
「オーマ、イッヒ リーベ ディッヒ!」
「どうしましょ。可愛くて食べちゃいたいわ!」

マーシャとクラウゼ教授が、代わる代わる涼音を覗き込んで初めて覚えた愛の言葉を言わせる。天使のような無邪気な笑顔付きの愛の言葉だから、たまらない。

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