異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
 天井にはプラネタリウムの様に星が瞬き、部屋全体が夜の色へと変わった。

 “過去、人類はその過ちの為、滅びの道を辿りました”

 大聖女レティーナ様の透き通った声が部屋全体に響いてくる。

 上空に一つの青い惑星が現れ、それが茶色く蝕まれていった。

 地球? と、見紛うその惑星はあっという間に茶色く干上がった大地だけの石ころに変わり。生きとし生けるものは滅び去った様に見えた。

 “しかし、神はわたくしたちをお見捨てにはなりませんでした。地下深くに方舟をお造りになり、そこで数千年の時を命のプールにてお守りになったのです”



 少しずつ。色が茶色から青に、青から緑に。まるでターコイズの輝きのように。

 そして大気には雲ができる。

 雨が降り、光は生命を育む。

 いつしかその惑星は素の宝石の様な青さを取り戻し……。



 “神は、この世界にお子達をお遣わしになりました。


 火のアーク。
 水のバアル。
 風のアウラ。
 土のオプス。

 これら四大元素の子らと。

 時のエメラ。
 漆黒のブラド。
 金のキュア。
 光のディン。

 これらの四大天使の子らを。


 物質の化学変化に干渉するアーク。
 物質の温度変化に干渉するバアル。
 空間の位相、位置エネルギーに干渉するアウラ。
 そして、それらの物資そのもの、この空間に物質を創造し生み出すことのできるオプス。

 時空を司るエメラ。
 漆黒の、闇、重力を司るブラド。
 全ての命の源。金のキュア。
 光の、エネルギーそのものを司る、ディン。


 彼らはこの世界に満ちて、滅び去ったこの地を再生させたのです。

 遥かな時が流れ、命のプールで眠る者たちは再びこの世界に根を下ろし、繁栄していったのでした“


 大聖女様の声がそこで終わり、部屋が素の明るさに戻った時。

 目の前で両手を掲げて目を瞑る彼女があたしにはすごく綺麗に見えた。





 しばしの沈黙の後。

 レティーナ様は目を開けて、あたしの方を向き直って言った。

「世界には、神の子ら、天使達で溢れて居るのです。わたくし達はその天使達と心を通わせることによって、通常では有り得ない程のチカラを行使することができるのです。それが、この世界における魔法(マギア)の基本的な使い方になります」

 と、そう。



 え?

 魔法って、そういうものなの?

 なんだかイメージと違うかも……。
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