異世界猫。王子様から婚約破棄されましたが、実は聖女だったのでまったりもふもふ優しく騎士様に愛されます
 マジカルレイヤー。

 次元の膜、レイヤーに(レイス)の形、マトリクスを(えが)き。そしてそれを自身の身体に重ね合わせて合成する。

 レティーナさまに教えてもらったのは、そのコツ、みたいなもので。

 結局のところ、レイヤー操作に必要なのはギアでも魔法でも無く。

 単純にレイスを操作する、マナの扱い方なのだった。


 マナ、とは。

 実はこの世界の外側に満遍なく存在する世界の根源、のことらしい。

 世界、宇宙、その空間っていうものは何もないところにあるのではなくて。

 真那(マナ)という海に浮かぶ泡の様なものなのだとレティーナさまは言った。

 そして。

 (レイス)はそのマナで出来ている。

 繋がってるのだ。この世界の根源と。



 そのレイスをマナによって操作することで、こういった事もできるようになる。

 マリアンヌの身体の上にあたし、茉莉花のマトリクスを重ね合わせる事で、表面に現れる姿をマリカに変える。

 本当の茉莉花とちょっと違うのは、髪の色がちょっと薄く茶色くなっていることと、あたしの瞳が右眼がターコイズ、左眼がクリソベリルキャッツアイ、そんなオッドアイだと言うこと。

 そしてこれはほんとうにありがたい効果なのだけれど、肉体的にも耐久力的にも通常の人間を超えるほどの力を手に入れられる、ということ、だった。

 まるでスーパーマン?

 ううん、魔法少女、みたいに?

 変身して戦う魔法少女っていうのが元の世界のテレビでよくやっていたけど、そんな魔法少女にでもなったかのように体が動く。

 そして身体が、怪我をしない、のだ。

 人間の身体は脆いよね。

 ちょっとしたことですぐに怪我をしたり骨が折れたり。

 人より早く動けたら、その分身体も丈夫じゃないと耐えられない。

 まあ考えたらあたりまえか。

 飛んだりも跳ねたりもできるんだったら身体も超人化しなきゃね。

 このマジカルレイヤーにはそんな効能もあったのだ。


 そして。マリアンヌ。

 彼女の場合も。

 今のあたしと共有しているこの(レイス)に、マリアンヌのレイヤーを上書きする。

 そうする事で見た目はそのままだけど、マリアンヌの意識が表に出る事が出来る様になった。

 あたしとマリアンヌの意識が逆転してあたしは中から見てるだけ、みたいな? そんな状態。


 そんなことで。普段おうちにいる時はマリアンヌのレイヤー。こうして聖女の修行をする時にはマリカ。

 そんな風に使い分けることにした。

 あ、もちろんミーコに変わる事もできるんだよ?

 もふもふ。羨ましい?
< 23 / 92 >

この作品をシェア

pagetop