癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
ロエルはソフィア抱き上げると、

「彼女を城へ連れて行く。」

と、言い、ソフィアを抱えて馬に乗せると、自分の肩にソフィアが持たれかかるようにし、片腕でソフィアの身体をがっちりと抱きしめ、もう片方の腕で手綱を握り、ゆっくりと馬を歩かせ始めた。

すると、息を切らせてやってきたニックが、それ見て、

「ソフィアをどこへ連れて行くんだ?!」

と大声で叫んだ。

ロエルは手綱を引き、馬の歩みを止めると、馬ごとニックの方に向き直り、ニックを馬上から見下ろした。ニックの頭の先からつま先まで視線を移す途中、一瞬、ニックの血の付いた異形の手に目が止まったが、すぐにさま人間の手に戻ったので、ロエルは何も見なかったかのようにニックに、

「お前は誰だ?ソフィアを知っているのか?」

と問いかけた。
ニックは、

「俺の名はニック。ソフィアの幼なじみだ。ソフィアが小さい頃からずっと守ってきた。」

「私はこの国の王、ロエルだ。ソフィアは今大怪我をしている。今から城へ連れ行って治療する。」

「治療はいらない。ベンじいさんが治す。」

「ベンじいさんとは?」

「ソフィアの祖父だ。」

話の途中でロエルに一人の騎士が駆け寄り、背筋を伸ばし大きな声でロエルに向かって、

「申し上げます!先程の他国の兵士に、この家に住む老人が連れて行かれたようです!」

「えっ?ベンじいさんが?」

その話を傍で聞いたニックが驚きながら口を挟んだ。

「さっきの言葉は訂正する。ソフィアを治療してくれ!」

ニックは、ソフィアの為に何も出来ない自分が情けなく、歯がゆい表情でロエルに頼んだ。

「分かった。ニック、お前も付いてこい。聞きたい事がある。」
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