癒しの君と炎の王~炎の王は癒しの娘を溺愛中~
「竜人の女は、200年~300年に1度、1個だけ卵を産むんだ。ただでさえ竜人の数は減ってきている上に1個だから、生まれてきた竜人の子供はとても貴重なんだ。でも、小さいうちは鱗も柔らかくて、よく母親の硬い鱗で怪我をするんだ。それで命を落とす子供も。だから、大昔から、癒しの力を持つ者は、竜人の子供の傷を治す役割を担ってきたんだ。だが、いつの時代も悪党達が癒しの力を狙ってくることが頻繁に起きるから、変化の力のある者は人に姿を変えて癒しを守っているんだ。…今回は守りきれなかったが…。」

「なるほど。では前からよく狙われていたのか?」

「ああ。ソフィアの祖父の方は医者として働いていたからしょっちゅうな。ソフィアは表向きは癒しの力は持っていないってことになってて、ベンじいさんの助手として薬を作ったりしてたから、ソフィアが狙われることはほぼなかったんだ。それにソフィアは竜の子供にしか力を使わないようにしていたからな。」

ロエルはそれを聞いてうなだれた。

「俺のせいか…。」

メイドが飲み物と軽食をテーブルの上に並べ始めた。ロエルは立ち上がり、アルバートから着替えを受け取ると、ベッドの方へ移動し、血の付いたシャツを脱ぎ、着替え始めた。

ニックは待ってましたとばかりにテーブルの上に並べられたサンドイッチやスコーンなどを口に放り込んだ。ロエルは着替えをしながら、むしゃむしゃと貪り食べているニックに、再び質問を投げかけた。

「で、今までニック一人でベンじいさんとやらとソフィアの二人を守ってきたのか?」

「ああ。」

「では、他国の兵士達に連れて行かれたという老人は…、」

「ベンじいさんで間違いないだろう。」
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